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ネットTVの衝撃:テレビ局は成長産業に大変身

ネットTVの衝撃:テレビ局は成長産業に大変身
 テレビ局は、なぜ成長産業ではないのか?
 それは視聴者の行動データを貯めていないからである。グーグル、アマゾン、イーベイなどインターネット出現以降のベンチャー企業で、大きく成長した企業は、例外なく自社でユーザーの消費行動のデータを集めている。
 顧客名簿ではなく、「ユーザーが何を好きか」「いつどこに行くのか?」などの行動情報を大量に集め、分析している。
 テレビ局も、1日数千万人が利用する企業なのに、視聴者データが集積されない。それどころか、旅行番組を見た視聴者が、ネットで旅行を申し込んだら、その行動データは旅行サイトに蓄積されてしまう。
 「テレビはやっぱり情報の起点だよね」などとおだてられているうちに、肝心のユーザーデータをIT企業に吸い取られているのだ。
 そのテレビ局に大きなビジネスチャンスが訪れている。
 ネットTVの発売、普及だ。
 米国で2010年10月に発売されたグーグルTVやサムソン電子やLG電子が売り出しているインターネット接続のネットTVは、2014年までに全世界で1億台以上が普及すると見られている。(eMarketer 2010年10月6日)
 グーグルTVをはじめネットTVは、テレビ番組以外にも、アマゾンの映像配信サイトやユーチューブ、その他のインターネットサイトを見られる。
 インターネット上の行動履歴はクッキー(Cookie)という技術で把握できるが、ネットTVでも同じことが可能になる。
 これは、テレビ局にとって、大きなチャンスである。今まで放送という仕組み上、不可能だった視聴者行動データが、手に入るのだから。
 現在でも、視聴率は1分単位で誰がどこのテレビ局を見ていたか測定している。フジテレビがCMになるとTBSを見て、番組終了するとNHKを見るといった具合だ。
 テレビ番組を作る人は、毎分視聴率を基に、視聴者がいつ他局にスイッチするのかを分析し、番組のコーナーの順番を考える。今のところ、ライバルは他のテレビ局数局だけだ。
 ネットTV時代では、テレビ局のライバルは、映画、音楽、チャット、ニュース、eコマースといったテレビ番組とは違うコンテンツになる。TVスクリーンは、テレビ番組以外のコンテンツであふれ返るのだ。
 無数に増えるコンテンツからテレビは、テレビ局が編成した番組を「ながら視聴」するのではなく、より志向性の強いメディアに変化するだろう。
 それも、テレビ局にとって大きなチャンスだ。志向性の強いユーザーの方が、広告を出したい人にとって自分たちのターゲットなのかが明確だからだ。
番組データの統一化でネット広告網に直結
 ただ、1つ問題がある。それは、テレビ局の番組データが各局ごとに少しずつ違い、統一されていないことだ。
 番組データを、一般的にメタデータと呼ぶが、そのメタデータの入力項目が各局によってバラバラなのだ。例えば、高校野球についての番組をカテゴライズする時に、「野球」と「スポーツ」にするのでは、番組の視聴者層が少し違う。
 カテゴリーの名前やカテゴライズされたコンテンツが違うと、広告出稿の作業が複雑になってしまう。「野球」で統一されていれば、1回で済む入力を、ほかの広告枠には「スポーツ」と入力する手間が増える。
 1字でも検索ワードが間違っていると、検索結果が違うのと同じで、ネット広告を自動配信するアドネットワークと言われる技術との連携にちょっとした工夫が必要になる。
 せっかくネットTVで視聴動向が取れるようになっても、ネット広告配信と連携しないとお金が稼げない。番組メタデータの共通化は、ネットTV時代にテレビ局が儲けるための重要なキーポイントだ。
 既に米国では、EPGの特許を持つロビ(Rovi)社が、ケーブルテレビなどと共同で、映像コンテンツのデータを標準化する動きが始まっている。
 テレビの地デジ化は、「放送」という枠組みのデジタル化であって、ビジネスモデルは何も変わらない。
 テレビ局のデジタル戦略は、テレビ番組がすべてデジタル情報としてインターネットを経由してネットTVに配信される環境で、視聴者データをいかに集め、広告や有料モデルのビジネスかを考える点にある。
視聴者にとって、放送かネットかは無関係
 米国の留学先で、マーケティングの教科書に「19世紀に隆盛を誇ったアメリカの鉄道会社はなぜ衰退してしまったのか」という話が載っていた。
 その問いの答えは、ユーザーは鉄道に乗りたかったのではなく、移動したいだけだったのに、鉄道会社は「線路」インフラに固執して車社会が到来した時、新たなサービスを出せなかった、というものだ。
 自社ビジネスの定義づけを間違えてしまったのだ。
 テレビ局の役割は、視聴者に情報を伝達することだ。視聴者にとって、番組の経路が放送かインターネットなのかは全く関係ない。
 もし、テレビ局が広告や課金ができる映像の配信プラットフォームをグーグルやアップルなどのIT企業よりも早く構築できれば、次世代テレビ局へと脱皮できる。
 インターネットの出現後、最後で最大のビッグチャンスをものにできるか、テレビ局の力が試されている。

法人税を実質減税 政府税調が検討
ナフサ課税見送り
 政府税制調査会は2011年度税制改正で法人税を「実質減税」する検討に入った。税率下げに伴う税収減を容認する姿勢に転じ、企業の法人税負担を実質的に軽くする。減税の財源として石油製品の原料となるナフサに一部課税する案は、国内産業への影響に配慮して見送る方向だ。
 政府税調はこれまで法人税減税に伴う税収減を、企業の税負担の付け替えで賄う「税収中立」型を検討してきた。ただ、民主党などでは「企業の負担軽減につながらないと意味が薄い」との声が強く、減収の容認へ方針転換する。
 税率下げに必要な財源規模は経済産業省と財務省で隔たりが大きかったが、1%あたり3000億〜3500億円で決着。5%とされる引き下げに必要な財源の半分程度(7000億〜8000億円)を法人の税負担見直しで確保する方向で産業界と最終調整しており、近く経産省が政府税調に報告する。
 企業が欠損金を繰り越して課税所得と相殺(控除)できる制度や、減価償却制度の見直しなどで工面する。そのうえで、法人関連で財源を確保できない部分の減収を容認する。
 ただ赤字国債による法人税率下げを避けるには、下げ幅を経産省などが要望した5%から圧縮せざるを得ないとの意見も政府税調内で出ている。妥協策として、国税の法人税だけでなく、地方法人税と合わせた法人実効税率で5%下げる案も浮上しているが、地方の反発は必至だ。政局にも不透明感が強まっており、税制改正の行方に影響が及ぶ可能性もある。

薄れた存在感 語らぬトップ、内向く若者
 世界の中での日本の存在感はこの20年で著しく低下してしまった。中国をはじめとした新興国が台頭しているせいもあるが、それだけではない。世界に積極的にかかわろうとしない内向きな姿勢がニッポンの影を薄くしている。第3部「薄れた存在感」では、グローバル人材の枯渇や経済統合の流れへの乗り遅れなど様々な事例を追いながら、影響力を高めていくための道を探る。
 20年前、世界の課題は冷戦終結後の新世界秩序の構築だった。そのころ日本もバブル景気の熱気を残し、株価がピークを越えた後の1990年末でも、東京証券取引所の時価総額はなお世界1位だった。多くの国際会議に参加してきた行天豊雄・国際通貨研究所理事長は「当時の世界には日本の経済や金融の力、強い競争力を持った製造業への戦略的な関心があった」と述懐している。
 だが日本への関心は徐々に薄れた。バブル崩壊後、不良債権問題が新たな関心事になったのに、大手邦銀のトップが自ら国際会議で日本の金融の状況を語ることはほとんどなかった。その間に中国が台頭し、情報発信を格段に強化した。その影響もあり、日本への関心は相対的にさらに低下したと、行天氏は言う。
80歳前後が主役
 日本の政治の混迷がそれに拍車をかけた。海外で日本が話題になっても、首相が固有名詞で語られることはまれになった。在任期間が長く、国内改革や米国との連携重視のメッセージを発した小泉純一郎首相が唯一の例外だろう。
 2008年冬のダボス会議での「日本・忘れられた大国?」と題する分科会は象徴的だった。同年夏の洞爺湖サミットを控え、議長国に焦点を当てる狙いだったが、パネリスト全員と聴衆の大多数は日本人。司会の竹中平蔵・慶大教授が英語で始めると「日本語で」という声が上がり、日本語での議論に終始した。
 内容も世界の中での日本の役割ではなく、国内問題ばかり。出席した黒川清・政策研究大学院大学教授は「日本はグローバル社会から身を引きたいのか」とブログに記した。
 近年、影響力のある外国人の来日が少なくなった。一方で、海外の国際会議で日本人の姿と声がますます目立たなくなっている。9月下旬、シンガポールでこれからの世界を考える非公開の会議が開かれた。世界から二百数十人の著名人が集まったが、日本から参加したのは槙原稔・三菱商事相談役1人だった。
 日本から国際会議に頻繁に参加し、積極的に発言しているのは、行天氏(79)、槙原氏(80)、緒方貞子・国際協力機構理事長(83)など80歳前後の人たち。その次や、次の次の世代で、積極的に意見を発信しようとする人は限られる。
 なぜ層が薄く、現役世代の参加が少ないのか。多くの国際会議で日本側の窓口を務めてきた山本正・日本国際交流センター理事長は「官民とも国際的な意見の発信や人材の育成に投資してこなかったからだ」と指摘する。「経費を削る仕分けを続けているうちに日本のグローバルな対応力が弱まった」(山本氏)
海外経験評価せず
 ビジネスでも層の薄さは深刻だ。日本経済の輸出依存度は90年代よりも高く、成長の中心は新興国に移っている。だが新興市場で、日本企業は韓国勢に後れをとる例が多い。「日本企業は自分たちがつくってきたモノを売ろうとし、韓国企業は売れるモノを自分たちがつくろうとする」。東レ経営研究所のリポートはこう指摘している。
 日本企業は国内の発想が中心で、海外の市場の特徴や変化に疎い。インドなどにも社員が家族帯同で長く住み、現地に根を張っていく韓国企業との違いも大きい。今年上半期、韓国のサムスン電子、LG電子の2社の世界での液晶テレビ売上高は、日本の8社合計を上回るまでになった。
 産業能率大学の今年の新入社員意識調査で「海外では働きたくない」比率は49%に達する。米ハーバード大の日本人留学生は今や中国の5分の1以下、韓国の3分の1以下で、人口約500万人のシンガポールよりも少ない。内向き意識が強まる一因は「海外で勉強した人や活躍した人を、ちゃんと評価し、処遇してこなかった日本企業の風土にある」(佐々木常夫・東レ経営研究所特別顧問)。
 ようやく日本企業もグローバル人材の育成強化に乗り出した。日立製作所は11年度の採用から文系の100%、技術系の50%をグローバル要員と位置づけ、20代のうちにアジアを中心とする海外事業の現場に送り込むという。菅原明彦・人財開発部長は「世界の産業と市場の構造変化に合わせ、意識して人のあり方も変える」と説明する。
 日本の1人あたり国内総生産(GDP)は近年、シンガポールを下回りがち。ひと昔前までインドからの留学生数で日本は中国よりも上だったのに、今や中国には日本の10倍のインド人留学生がいる。中国が招致を強めた結果だ。
 斉藤惇・東京証券取引所社長は「日本はアジアで一番という思い込みを、まずなくせ」と言う。オピニオン発信力の強化、グローバル人材育成への投資と意識改革が、日本の次の10年を左右する。

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