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ゲーム大手がソーシャルゲーム市場で後手に回るジレンマ

ゲーム大手がソーシャルゲーム市場で後手に回るジレンマ
 携帯電話向けを中心に急成長する「ソーシャルゲーム」市場で、日本の大手ゲーム開発会社が出遅れたのはなぜか。技術力は十分にあっても、ディー・エヌ・エー(DeNA)やグリー、ミクシィといった新興勢力に追いつけない。実は、こうした現象は初めてではない。
 2003年前後、韓国製のパソコン向けオンラインゲームが続々と日本に進出してきた。このときも、日本の大手ゲーム会社は有効な手立てを打てず、市場を韓国企業に押さえられてしまった。後から登場した新興企業が大企業を打ち倒すこのパターンは、経営学者のクレイトン・クリステンセンが唱えた「イノベーションのジレンマ」の典型である。
高度な技術とユーザーとのギャップ
 最近、ある大手ゲーム会社の開発者からこんな思いを聞いた。
 「ソーシャルゲームのようなものはゲームとは感じられず、開発したいとは思わない。家庭用ゲーム機市場が厳しい状態にあるのはわかるが、だからといって高度な技術を持つ社員をリストラするのは、会社の勝手すぎるのではないか」
 気持ちはわかるが、同意はできなかった。
 「プレイステーション3(PS3)」や「Xbox360」といった高性能な家庭用ゲーム機は、コアなゲーマー向けのニッチな市場に変わりつつある。一方、開発コストは数十億円単位に膨らみ、投資回収が容易でなくなっている。この需給ギャップを企業がリスクとして背負い続けるのは、もはや合理的といえなくなった。リストラを迫られる現場の開発者にとって、不条理に感じられるとしてもだ。
 大手ゲーム会社の開発者は、PS3やXbox360向けに開発したいという意識が強い。これらのハードウエアで最新の技術を試し、性能の限界を探ることは、開発者にとって喜びでもあるからだ。しかし、ユーザーがそうしたゲームにお金を払っても遊びたいと感じなくなってきたとしたら、どうだろうか。
新興勢力を「レベルが低い」と無視
 クリステンセンの理論では、優良企業はユーザーが製品に求めるニーズに対応して継続して改良を進めるが、その改良はしばしばユーザーニーズを超えて性能過剰になるという。
 家庭用ゲーム機もそうした傾向がある。ユーザーの求めに応じてグラフィックスや処理能力を向上させてきたが、PS3やXbox360の世代では、そのハード性能を十分楽しむ環境を整えるのに相当なコストがかかる。ゲーム機本体はもちろん、ハイビジョン画質のテレビや5.1チャンネルといったリッチな音響環境、さらにゲームソフト自体も新作は7000円前後する。高性能で強烈な没入感を味わえるのは確かだが、大ヒットに結びつかない。それは多くの一般ユーザーのニーズを超えてしまったせいだ。
 一方で、性能が低いハードウエアでも楽しめるゲームが登場し始めた。
 カラー液晶を搭載する日本型の携帯電話は、簡単なゲームであればおもしろさを十分に表現できる。性能は低いが低価格なハードウエアで成功する戦略は、任天堂の「ゲームボーイ」以来、「ニンテンドーDS」まで引き継がれているが、多くの日本型の携帯電話はそれよりもさらに制約が多い。にもかかわらず今提供されている携帯ゲームは「暇つぶし」としては十分な内容だ。
 こうしたゲームの存在を、既存の大手ゲーム会社の開発者、特に高性能志向の強い開発者は「ゲームとしてはレベルが低い」と無視しようとする。そこに大きな市場が出現していても、積極的に進出したいという動機は生まれない。むしろ、「ソーシャルゲームのようなものは一過性のブームに過ぎない」「もう少し市場の動向を見てから参入を検討すればよい」といった後回しの戦略を選ぶ。
 ところが、ソーシャルゲームは予想をはるかに超えるペースで、DeNAやグリーがそれぞれ2000万人以上のユーザーを抱えるまでに成長し、全く新しい市場を作ってしまった。そして、既存のゲーム会社が参入を検討するころには大きく差を付けられ、市場の急激な変化に追いつくことの難しさを実感させられることになる。
オンラインゲームで韓国に負けた理由
 パソコン用オンラインゲームのブームが起きた03年当時も同じだった。
 韓国製の大規模オンラインRPG「ラグナロクオンライン」(ガンホー・オンライン・エンターテイメント)が02年にサービスを開始した当時、その技術水準は日本の大手ゲーム会社であれば十分に開発可能なものだった。しかし、オンラインでサービスを継続的に提供するビジネスモデルが家庭用ゲーム機のパッケージソフトとはまったく異なるうえ、韓国のゲーム会社が急速に技術力を高めていったことで、後から参入した多くの日本企業は失敗に終わった。
 この市場は現在も、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジー11」といった一部を除けば、韓国製が主流である。8年あまりの間に、韓国のオンラインゲームはさらに進化し、特にサーバーを中心とした技術力では日本企業が追いつけないほどになっている。
 その差を生んだのは、オンラインゲーム一筋に取り組む新興企業と、家庭用ゲーム機を主力としつつオンラインゲーム市場に実験的に進出しようとした既存企業との立場の違いである。
 既存企業は新規事業部といった部署にチームを編成して参入するが、多くの場合、そこには中核的な人材は回されない。また、当初は収益もなかなか上がらず、既存事業に比べて弱い立場にならざるを得ない。結局、中途半端なままその分野で成功できる可能性はないと判断し、撤退を選ばざるを得ないことになる。
 ソーシャルゲームでも同じ現象が起ころうとしている。DeNAやグリー、ミクシィといった企業は新興勢力であり、今や最大の収益源としてソーシャルゲームに全エネルギーを注いでいる。ゲームのプラットフォームであるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を外部に開放するオープン化戦略を取り始めてから約1年で、家庭用ゲーム機市場にも大きく影響を与え始めた。
 既存の大手ゲーム会社も、初期のSNSプラットフォームであれば開発が可能だったはずだ。買収する選択肢もあり得たかもしれない。しかし、現実にはそうならなかった。
「2年前に参入できていれば……」
 ある大手ゲーム会社のディレクターは2年前、米大手SNS「Facebook(フェイスブック)」の重要性を認識し、「会社に企画を出した」という。しかし、この企画は社内稟議を通らないまま、調整に1年半以上を費やした。最近、ようやくゲームの公開にこぎ着けたが、フェイスブックのゲーム市場はいまや激戦区となっている。成功するかどうかは不透明で、「2年前に参入できていれば……」と、このディレクターは漏らす。
 高性能な製品市場にいる企業が、性能の劣る製品に自らを合わせていくのは難しい。ユーザーは低性能な製品を求めていないと考えがちなうえ、低価格であるため参入しても収益性が低いからだ。その結果、高い技術力を持ちながら、新市場への適応が遅れ衰退する。これがイノベーションのジレンマである。
ソーシャルゲームの技術レベルもいずれ向上
 だが、ソーシャルゲームも今のような単純な内容のままであり続けるはずがない。低性能で始まったゲームが技術水準を急速に高めて上位市場のゲームに追いつくことも、歴史の教えるところだからだ。
 ラグナロクオンラインの当時とは違い、現在の韓国からは最新の3Dグラフィックスを使う多様なゲームがたくさん登場している。それと同じことがソーシャルゲームの分野でも今後起きてくるだろう。例えば、携帯電話の主流が従来の日本型からスマートフォンに移行していくのに伴い、リッチで高性能なソーシャルゲームが急速に増えるといったかたちでだ。
 「ゲームとしてはレベルが低い」といわれる時期はすぐに終わる。ソーシャルゲームのブームを一過性の現象と過小評価するべきではなく、大手ゲーム会社は無理にでも市場に出て可能性を探るしかない。
 スクウェア・エニックスは11月2日、フェイスブック向けにRPG「Chocobo’s Crystal Tower」と「Knights of the Crystals」の配信を開始した。看板タイトルのファイナルファンタジーシリーズに登場するキャラクター「チョコボ」を使っていることからもわかるように、ブランド力や知的財産(IP)をつぎ込んで後発の不利を補い、新興企業にはない魅力で勝負しようとする姿勢がうかがえる。

NTTに光回線など開放促す 総務省報告案
 2015年までに光ブロードバンドを全世帯に普及させる政府の「光の道」構想で、総務省の作業部会は、NTTのアクセス回線部門の別会社化を当面見送る方針を固めた。NTT内にとどめたまま回線や設備の他社への開放を強く促す。こうした「社内分離」で15年までに競争が進まなければ、別会社化を含めた措置を改めて検討する。
 高速ブロードバンドの柱となる光回線は、NTT東日本と西日本が大部分を保有する。ソフトバンクなどは、NTTと通信各社が公平な条件で競争できないとしていた。
 このため、回線や中継網などの設備を対等な条件で他社に開放することをNTTに求める。光回線を小口で貸し出して他社に使いやすくしたり、回線部門の会計や人事、接続情報を他部門と厳密に分ける「ファイアウオール(業務隔壁)」を導入して、NTTの通信サービス部門が有利にならないようにするなどの案を提示した。
 各社が主張していた別会社化については、作業部会は「別会社化には法案成立時点から最低でも2年かかり、株主への影響やコストも大きい」と指摘。報告案には「NTTの経営形態の見直しは必要ではない」との表現を盛り込んだ。「別会社化すれば5年で黒字化する」というソフトバンクの主張は「不確実性が高い」として退けた。
 作業部会はこうした方針を盛り込んだ報告案を12月上旬に正式決定する。11年度の通常国会に関係法案を出す見通しだ。

放送と同時にネット配信 テレビ東京が実験
 テレビ東京は22日から、放送と同時に番組をインターネット配信する実験を始める。子供向けバラエティー番組を放送エリア外に配信し、番組の認知度向上につなげる。民放キー局では初の試み。30分番組「ピラメキーノ」で、平日午後6時半の放送と同時に同番組のホームページ上で無料視聴できる。配信期間は12月27日まで。ビデオ・オン・デマンド(VOD)でも番組を提供する。

ノジマ、六本木にペーパーレス携帯電話店 iPadなど活用
 中堅家電量販店のノジマは25日、東京・六本木に新型の携帯電話専門店を開業する。電子看板や、アップルの多機能情報端末「iPad」を活用、店内ポスターや価格表示などに紙を使わない「ペーパーレス店舗」とする。先進的なイメージを打ち出し、高機能化が進む携帯電話の情報発信拠点にする。
 既存の「でんわ館六本木店」を改装する。売り場面積は約100平方メートルで、店内に設置した約70台のiPadを来店客が自分で操作。携帯電話の各機種の仕様や価格を確かめられる。店内の壁には42〜60インチの電子看板を取り付け、製品の広告などを表示する。
 ソフトバンクモバイルとKDDI(au)については専用端末から契約の申し込みができる。使用する紙は契約書の顧客控えなど一部に抑えた。手にとって操作できるスマートフォンの実機も豊富にそろえる。

紀伊国屋、紙と電子書籍の顧客管理を一元化
 紀伊国屋書店は紙の書籍と、12月にも販売を始める電子書籍の顧客情報管理を一元化する。買い物ポイントも共通化する。消費者の購入履歴を書籍の形態によらずに分析し、販促の効率を高める。
 紀伊国屋は店舗販売とネット通販の顧客を対象にしたポイント会員(約150万人)組織を運営している。電子書籍の販売に合わせ、電子書籍の購入に必要なIDを、店舗で使うポイントカードやネット通販のIDと共通化する。購入履歴や属性などの顧客情報をまとめてデータベース化し分析。消費者の好みにきめ細かく応じた新刊本の紹介などを目指す。

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